耳周りには全身の臓器とつながるさまざまなツボが集まっており、耳のツボを刺激すると不調を改善・やわらげるといわれています。ツボの刺激の歴史は古く、鍼灸など東洋医学における経穴やインド医学アーユルヴェーダのマルマなどの考えに基づいており、ある特定の部位を刺激することで不調の緩和や効果のあった症例を積み重ねて受け継がれてきたものです。特に日本の鍼灸は、江戸時代以降に発展し、最近では科学的検証も進んでいます。そして、近年耳ツボは海外でも注目されています。例えばアメリカ陸軍では比較的即効性がある痛み治療として、耳ツボを利用した鍼治療を導入しています。
【神門】耳介内側の上部にある軟骨のくぼみあたり。 効果:自律神経を整える。
【子宮】耳介内側の上部にあるY字型のくぼみ奥。 効果:生理不順を整える、生理痛を緩和。
【飢点】耳穴の顔側の小さな軟骨の突起の中央。 効果:食欲を抑える。
【肺】耳穴の外側のくぼみ。 効果:代謝アップで脂肪燃焼を促す。
【枕】耳たぶの上部にある軟骨の突起の下あたり。 効果:脳疲労を緩和し、寝つきが良くなる。
【内分泌】耳たぶの上部のくぼみ。 効果:ホルモンバランスを整える。
【目】ほぼ耳たぶの中央。 効果:眼精疲労を緩和する。
【翳風】耳介の付け根、耳たぶの裏のくぼみ。 効果:首や肩こりを和らげる。
Point!
耳をまわすことで血流が良くなって全身が温まり、顔・頭・首の筋肉がほぐれます。手を温めてから行なうとより効果的です。
「イタイ」と感じるまで刺激しないこと。イタ気持ちいいぐらいがおすすめです。
マッサージは、それぞれ気持ち良く感じる程度の秒数、回数で行ないましょう。
1.親指と人差し指の腹で耳介(じかい)の上をつまんでクルクルまわす。
2.親指と人差し指の腹で耳介の上をつまんでひっぱり、耳たぶをつまんで下にひっぱる。最後は耳介の端をつまんで横へひっぱる。
3.人差し指の腹で耳介の上の裏から、親指の腹で耳たぶの裏から耳介を折りたたむ。
4.手で耳介を覆いクルクルまわす。
※ツボの刺激は病気を治すものではありません。
※イラストはイメージです。
教えてくれたのは…
きたにし耳鼻咽喉科院長
北西 剛 先生