教えてくれたのは…
東京有明医療大学教授、医学博士
川嶋 朗 先生
1つでも思い当たったら、温活をはじめましょう!
「若い世代ほど冷えている人が多いんです」と川嶋先生。エアコンや冷蔵庫などの現代文明が発達したことで、快適な温度の中ですごし、いつでも冷たい物をとれるようになりました。また、交通機関の発達などにより歩いたり体を動かすことが少なくなり、汗をかく機会が減少しています。そのため、暑ければ汗をかいて体温を下げ、寒ければ筋肉などが熱をつくるという基礎代謝としての体温調節機能を養う機会が奪われており、冷えの要因となっています。
近年の日本人の平均体温は36℃前半ですが、代謝が活発に行なわれると考えられるベストな体温は37℃といわれています。体温が1℃上がると基礎代謝は13%増えるとされている(※)ことからも、体温の1℃アップを目指しましょう。
※厚労省/特定保健指導の実践的指導実施者研修教材より
代謝とは?
●活動代謝
体を動かして消費されるエネルギー
●食事誘発性熱産生
食事消化時に使われるエネルギー
●基礎代謝
呼吸や心臓を動かす、生命維持に必要なエネルギー。基礎代謝が高い人は体温が高く血のめぐりも良いため、老廃物が滞りにくく、体調不良なども少ないといわれています。
体が冷えると血行が悪くなり、体や肌にさまざまな悪影響を及ぼします。血液は体内をめぐって栄養や酸素をすみずみまで届け、老廃物を運び出す役割があります。そのため血行が悪くなると、必要な栄養が届かなくなり、新陳代謝も鈍りがちに。老廃物も排出されず、溜まってしまいます。また、体が冷えると代謝が落ち、脂肪が燃焼されにくい体に…。
健康面はもちろんですが、美容面でも良くないことづくしです。「ちゃんとケアしているのに肌の調子が…」「ダイエットしても結果が出ない…」など、冷えを解消して、そんな悩みからも卒業しましょう。
血行を促進すると、肌細胞に必要な栄養である、ヒアルロン酸やコラーゲンを産生する力も回復。
くすみやシミの原因となる老廃物がスムーズに排出されるようになり、明るい肌に。
リンパの流れが良くなり、むくみにくくなります。代謝もアップし、脂肪が燃焼しやすい体に。
血行が良くなると、毛母細胞が活性化し、すこやかな髪を生み出す力がアップします。
体を効率良く温めるには、温めるべき部位があります。その要となるのは「血管」と「筋肉」。全身を流れる血液を効率良く温めることができるのは、動脈が皮膚に近いところを通っている部分です。首や手首、足首など「首」がつく部位は、寒気にさらされると血液の温度が下がりやすいので、冷やさないようにしましょう。
大きな筋肉のあるお尻や太ももなどは、外から温めるだけでなく、筋肉も動かして内側からも熱を発するようにしましょう。
温活は無理なく実践できそうなことから試して、習慣化してください。
体の外側から温めるだけでなく、体の内側からも温めるのが温活のポイントです。それぞれの温め習慣を身につけて、冷えに負けない体をつくりましょう!